季節が変わり12月になると、木々の葉は落ち、雪が降り始め、冷ややかな空気がホリデーシーズンの到来を告げます。一方、グアム島や太平洋一帯に点在する数々の離島にホリデーシーズンを告げるのは、寒い冬ではなく、上空に姿を現すC-130輸送機です。

今年68年目となる「クリスマス・ドロップ」作戦は、ホリデーシーズンを告げる年1度の恒例行事かつ人道支援活動であり、米空軍と同盟国日本の航空自衛隊、そして王立オーストラリア空軍が共同実施する重要な訓練となりました。今年から王立ニュージーランド空軍が新たに参加し、太平洋地域における将来の人道援助と災害救援活動に備えます。56に及ぶミクロネシアの離島に重要な援助物資を提供し、180万平方海里(約620万平方キロメートル)にわたる作戦範囲全域に居住する2万人の島民を支援します。

この訓練とクリスマス・ドロップ作戦開始前には、実際に物資を投下する地域の感覚を事前につかむため、「サンタ01」と呼ばれる飛行や、他の空中投下実践訓練のためのフライトを実施します。

「この投下実践訓練には実際に多くの利点があります」と言うのは、サンタ01飛行で機長を務める横田基地第36空輸中隊パイロットのライアン・ウェルズ少佐。「各機が低コスト低高度物資投下に最適な地点を決定するため島々の模擬調査を3度行い、目標地点に確実に投下できるようグアム島での実地投下も行いました」

2019年クリスマス・ドロップ作戦の一環として、低コスト低高度物資をC-130Jスーパーハーキュリーズ輸送機に積む横田基地第36空輸中隊機上輸送係デオンドル・ロジャース二等軍曹(左)とトビー・ヘイズ上級空兵(右)(写真提供:マシュー・ギルモア上級空兵)

2019年クリスマス・ドロップ作戦の一環として、低コスト低高度物資をC-130Jスーパーハーキュリーズ輸送機に積む横田基地第36空輸中隊機上輸送係デオンドル・ロジャース二等軍曹(左)とトビー・ヘイズ上級空兵(右)(写真提供:マシュー・ギルモア上級空兵)

「これは、確実な任務遂行のため乗員全員が一丸となって取り組むチームプレーです。援助物資を安全でなおかつ受け取る人たちが回収しやすい地点に投下できるよう、機上輸送係との緊密な意思疎通が必要になります」

前年に援助物資を投下して以来、対象となる島々の上空を飛行する機会はほぼないため、決して簡単な作業ではありません。

「時間の経過と共に島民が移動したり、場合によっては新しいインフラがつくられていることもあります。そうなると最初に計画した投下地点を変更しなければなりません」。第36空輸中隊機上輸送係でサンタ01乗員のローレン・ショウ上級空兵は言います。「その場合、状況に応じチームとして新たな投下地点を迅速に決めなければなりません。クリスマス・ドロップ作戦は乗員間の信頼関係を深め、実際の訓練環境で我々がさらに一丸となれる機会なのです」

サンタ01のメンバーとC-130輸送機乗員にとって投下実践訓練は、1週間半実施されるクリスマス・ドロップ作戦の始まりに過ぎません。

「援助物資を必要とする人たちに確実に届けるためには、多くのことが必要です」と、ウェルズ少佐。「そのためには、これまでのクリスマス・ドロップ作戦で培った信頼を、乗員間だけでなく他の参加国全ての乗員とも築かなければなりません。一人一人が任務を完了することで、お互いの任務遂行能力に対する信頼が醸成されます。我々がそこで築く高度な信頼関係が、太平洋全域で実際の災害救援や人道支援が必要になったときに力を発揮するのです」

バナーイメージ:2019年クリスマス・ドロップ作戦の一環として、投下実践訓練で低コスト低高度物資を投下した後、残留物を回収する横田基地第36空輸中隊のマリオ・モントーヤ一等軍曹(写真提供:マシュー・ギルモア上級空兵)