アメリカ大統領選挙の討論会シーズンは9月29日にスタートします。エイブラハム・リンカーンが道徳に基づき奴隷制反対を唱えた論戦から、候補者が印象に残るサウンドバイト(決め手となる一言)を発した最近のイベントまで、討論会は多くの変化を遂げてきました。

これまでの討論会

1858年:エイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスは、アメリカ上院の議席を争い討論会を7回開催しています。奴隷制度が喫緊の問題であったため、討論会のニュースは全国に広がりました(ダグラスが議席を獲得しましたが、2年後の大統領選ではリンカーンがダグラスを破りました)。

1948年:ハロルド・スタッセンとトーマス・デューイは、共和党の予備選挙中、アメリカにおける共産主義という単独の問題に絞って討論会を開催しました。

1960年:リチャード・ニクソンとジョン・F・ケネディは、初めてテレビ放送された大統領選挙本選の討論会で顔を合わせました。ニクソンは、若いケネディに比べ緊張した様子で、ずっと汗をかいていたことが話題となりました。「世界中の人々にもう一度アメリカに目を向けてもらいたい」。ケネディは言います。「我々は再始動し、今後最盛期を迎えると感じとってもらいたいのです」

1976年:ジミー・カーターとジェラルド・フォード大統領が16年ぶりに大統領討論会を開催。

1980年:ジミー・カーター大統領とロナルド・レーガンとの討論会で、レーガンは視聴者に、カーターが大統領になる前よりも暮らし向きが良くなったか考えるよう求めました。レーガンの庶民的な魅力は、多くの視聴者の心をつかむのに役立ちました。

1984年:挑戦者ウォルター・モンデール(写真)と、大統領としては当時史上最年長となる現職レーガン大統領との討論。大統領は「私はこの選挙で年齢問題を取り上げたりはしません。モンデール氏の若さや経験不足を政治利用することもありません」と言い、対抗馬のモンデールからさえ笑いを取りました。

1992年:独立系候補としてロス・ペローが参加した唯一の大統領選挙討論会。副大統領候補の討論会では、ペローのパートナーで退役した海軍将校のジェームズ・ストックデール(写真)が当意即妙の発言。「私は何者なのでしょう? なぜここにいるのでしょう? 政治家でもないのに」

2020年:最近のディベート形式は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、それ自体が議論の対象となっています。9月29日の討論会が行われるクリーブランドのホストは、著名なクリーブランドクリニックを健康アドバイザーとして共同開催者にしています(その後の討論会は、10月15日にマイアミ、10月22日にテネシー州ナッシュビルで開催される予定です)。

バナーイメージ:ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンによる初めてテレビ放映された討論会。1960年9月26日 (© Bettmann/Getty Images)