サラ・ミンカラは、障害に対する認識を変えることにキャリアを費やしてきました。彼女が強調するのは、障害者が地域社会にもたらす価値です。
現在、ミンカラは国務省でその役割を担います。バイデン大統領によって国務省国際障害権利特別顧問に任命され、米国の外交と対外援助が世界中の障害者を確実に支援するよう責任を負っています。
価値観に基づく人権
「私たちは、障害者のインクルージョンを慈善や同情と捉えるのではなく、価値観に基づく人権問題として正しいことだという認識を広める必要があります」。ミンカラは国務省の"ShareAmerica"に対しこう述べました。
その役割を果たす中でミンカラは、障害者が民主主義のプロセスに参加し、障害者やその利益を世界的に代表するリーダーを確保することを目指しています。
自身の活動の根底には、盲目のレバノン系アメリカ人ムスリムの女性としての体験があると彼女は説明します。
7歳の時、ミンカラは黄斑変性症で失明しました。学生時代は、数学と理科で抜きんでていました。教育関係者が難易度の低いコースに移るよう勧めたとき、ミンカラの母親は娘が飛び級制度のクラスに留まることを主張しました。
ミンカラは数学と経済学で博士号を取得しようと考えていました。大学時代に設立した非営利団体「エンパワーメント・スルー・インテグレーション(Empowerment Through Integration: ETI)」が、レバノンのトリポリでインクルーシブ・サマーキャンプを開催してから、その考えが変わりました。
そこで彼女は、世界中の多くの子どもたちが、成功するのに必要なアクセスや道具、エンパワーメントを欠いているのを目の当たりにしました。「盲目であることを誇りに思うと世界に向かって言いました」と、彼女は振り返ります。
障害者も社会の主流へ
学校、雇用主、政府は、障害者を別の集団として見るのではなく、最初からプランに含めるべきだとミンカラは訴えます。
「社会の諸施設が(障害者を)インクルーシブにする資金やリソースがない、という声をよく耳にします」とミンカラ。しかし、誰にとっても使いやすいデザインを取り入れ、最初から障害者のアクセシビリティを計画すれば、万人の利益になるのです。
例えば、テクノロジー企業は効率を向上させる音声機能付き製品を数多く生み出していますが、さらなる努力で家電製品をアクセシブルにできるでしょう。
「AI(人工知能)の世界により深く関わっていく必要があります」とミンカラは言います。「それが私たちにとっての未来で、そうしなければ取り残されてしまうでしょう」
世界のモデルとなる障害のあるアメリカ人法(ADA)
ミンカラは、1990年に制定された障害のあるアメリカ人法を、人々が生活し、働く環境を変えるモデルとして挙げました。マサチューセッツ州南岸で育った彼女は、この法律のおかげで公立学校に通うことができました。
新型コロナウイルス感染症対策で求められるリモートワークや教育環境により、世界は参加者が対面では会うことのない環境に適応する方法を学びました。
「誰もが互いにより人間らしく、理解しやすく、アクセシブルになる方法を学ばなければなりませんでした」とミンカラ。「障害者コミュニティーでは、ずっとそう言い続けてきました」
障害者擁護活動を離れたときのミンカラは、読書家でハイキング好きで探検家です。彼女はいつも、没頭できる本を探し、火山を探検しているそうです。
2010年にバラク・オバマ大統領が任命したジュディス・ヒューマンに続き、ミンカラは2人目の国務省国際障害権利特別顧問として任命されました。
This International Day of Persons with Disabilities, Sara Minkara, Special Advisor on International Disability Rights, discusses how persons with disabilities are an integral force for progress and moving our world forward. #IDPD #AccessForAll pic.twitter.com/33XKvXpJHd
— Department of State (@StateDept) December 3, 2021
バナーイメージ:自身が設立した非営利団体「エンパワーメント・スルー・インテグレーション(ETI)」が主催する2019年のプログラムで、子どもたちに白杖の使い方を教えるサラ・ミンカラ (© Tom Fitzsimmons)
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