地球を守る革新的なプロジェクトがアメリカの大学で誕生しています。
大学生たちは科学、技術、工学分野の第一人者たちから手ほどきを受け、その結果、キャンパス内外で多くの気候対策イノベーションを生み出しています。
賞金を出す民間企業
1年で10億トンの二酸化炭素を除去する。このマスク財団のアイデア募集コンテストにエントリーしたのが、マイアミ大学の学生たちでした。
4年生のローラ・スティグホーストは2021年春、スペースXが宇宙船を打ち上げた後に、このことを知りました。そして、すぐにカリフォルニア大学サンタクルーズ校海洋科学研究所で上級研究員を務める炭素除去専門家のグレッグ・ラウに連絡を取り、マイアミ大学の学生を集め、実現可能なモデル設計と研究企画案を書くためのチームを立ち上げました。
チームが提案した解決策は、海中の炭素を吸収する溶けるタブレットを使うことです。2021年11月、チームは総額50万ドルの賞金が贈られる上位5つのプロジェクトに選ばれました。
スティグホーストはマイアミ大学の取材に、「この解決策には自信があり、こうなることを想像していました。ただ、私たちが行ったのは理論上のことで、これからこの考えが現実世界で本格的に機能することを証明しなければなりません」と答えました。
ハーバード大学ジョン・A・ポールソン工学・応用科学スクール(SEAS)では、マイクロプラスチックのフィルターを開発する授業を開設しました。
授業のスポンサーはドイツの化学メーカーBASFで、学生たちには、世界中の水生動物や鳥個体群に悪影響を与えているマイクロプラスチックを水から除去する方法を考える課題が与えられました。
学生が考案したのは、水中の小さな泡で反応器内のプラスチック粒子をかき混ぜ、そしてそこに化合物を加え、プラスチック粒子を表面に浮かび上がらせ、集めるという仕組みです。
このプロジェクトに参加し、プロジェクトマネージャーを務めたハーバード大学の学生、マギー・シュルツは、「私たちは全員エンジニアですが、それぞれの専門分野が異なるため、多様性のあるチームとなり、その中で共に実験ができたことが有意義でした。私にとってこの経験が一番の収穫だったと思います」と述べました。
卒業後に羽ばたいたプロジェクト
キャサリン・シゾフはペンシルベニア大学在学中、クラスメートと一緒にエチレンセンサーを使って果物の腐り始めを測定する実験に取り組みました。目的は生ゴミの削減です。世界で排出される温室効果ガスの6~8%は、生ゴミが発生源です。
多くの生鮮品は、店頭に並ぶ前に倉庫で腐ってしまいます。シゾフたちが開発したセンサーは、リンゴやナシといった果物から出る化学物質の量を測定するもので、食品業者はこれを使うことで最適な時期に出荷できるようになります。
大学卒業後、シゾフは「ストレラ・バイオテクノロジー」を起業し、センサー技術をさらに高めました。この数年、全米各地でセンサーの販売を展開し、今では国内のナシとリンゴ包装業者の半分以上がストレラのセンサーを使うまで成長しています。
バナーイメージ:炭素除去技術を開発しマスク財団から賞金を獲得したマイアミ大学の学生たち。(上、左から時計回りに)ドリュー・リッチ、クリス・ランドロン、アンワー・カーン、ザック・ベルコヴィッツ、ナンシー・ルイス、ローラ・スティグホースト、イザベラ・フィツパトリック、イーデン・レダー (Courtesy of Jenny Hudak/University of Miami)
*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。
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