レノア・アドキンス

アメリカ議会図書館には、膨大な数のデジタルコレクションがそろっています。

議会図書館はさまざまな分野の蔵書をデジタル化することで、歴史の重要な場面を保存しています。所蔵するデジタル資料は、23人の大統領の文書(トーマス・ジェファーソンが書いた独立宣言の草稿を含む)、1941年の真珠湾攻撃後の街頭インタビュー、北アメリカの英語方言の録音記録や1887年から1914年に発売された野球カードなど多岐にわたります。

ShareAmericaは、議会図書館のデジタル戦略ディレクター、ケイト・ズワードとデジタルコンテンツ管理責任者のトレバー・オーウェンズを取材し、2人が興味深いと思う蔵書をいくつか紹介してもらいました。

  • 庶民の仕事プロジェクト このプロジェクトは、経済と社会が移り変わる中でのアメリカ人労働者の姿を記録したもので、アメリカ各地にいる実地調査員が、今日まで、900人あまりの人たちにインタビューを行ってきました。2017年のインタビューでは、ブルックリンに住む電気技術者、キム・スパイサーがどのようにして5歳の娘に実践的なスキルを教えているかについて語っています。「自分の仕事を娘に教えていますが、娘はかなり器用です。仲間入りしたいから、なんでもやりたがります。作業によっては、娘と一緒にするものもありますが、娘の前で絶対に使わない道具もあります。ドリル以外の電動工具類は使って見せますが、帯のこぎりなどののこぎり類、折込タイプの刃、回転刃がついた工具類は一切使いません」
バージニア州にある黒人系新聞、リッチモンドプラネットの輪転機室。新聞を印刷する労働者。写真は1899年頃のもの (Library of Congress)

バージニア州にある黒人系新聞、リッチモンドプラネットの輪転機室。新聞を印刷する労働者。写真は1899年頃のもの (Library of Congress)

  • サンボーン火災保険地図コレクション このコレクションは、地域の変遷がわかる手書きの地図です。ズワードは、「地図を見ると、当時教会がどこにあったのか、町の精肉店の場所、その当時の名前がわかり、ここから、地区や地域が歴史的な出来事や人口動態の推移を経て、どのように変わっていったかを垣間見ることができます」と説明します。
  • ウェブカルチャー・ウェブアーカイブ これはインターネット黎明期のウェブサイトを集めた資料で、代表的なウェブサイトに、ノウ・ユア・ミーム(Know Your Meme)があります。オーウェンは、このサイトを「ミームの百科事典」と評しています。このサイトは、流行の「ミーム」がどのように始まり、広まっていったかを説明しており、例えば、2012年に大流行した不機嫌そうな表情の「グランピー・キャット」は、誰かが掲示板サイト「レディット」に投稿した写真から瞬く間に広まりました。ネットユーザーたちは、この写真をフォトショップ加工し始め、その多くにネコの視点からみたコメントを挿入しました。
  • インターネットが普及する前、電話番号や住所を調べるのに、紙の電話帳が使われていました。議会図書館では、14の州、コロンビア特別区、シカゴ市の電話帳をデジタル化し、保存しています。その中には、80年前のものもあり、地元の歴史を知る手がかりになっています。オーウェンは、「電話帳は異なる自治体や団体で発行され、そのスタイルも時代ごとに異なります。例えば、電話帳コレクションから、ロサンゼルスといった都市が、どのような形で小さな地区へと分割されていったか知ることができます」と語りました。
カリフォルニア州キャンベルの電話帳に掲載された広告。1962年2月発行 (Library of Congress)

カリフォルニア州キャンベルの電話帳に掲載された広告。1962年2月発行 (Library of Congress)

議会図書館のデジタルコレクションは、オンラインで無料提供され、世界中の人が閲覧できます。

バナーイメージ:セントルイスの地形測量。1875年制作 (© Compton & Co./Library of Congress)