ノエラニ・カーシュナー

ウラジーミル・プーチンによるウクライナへのいわれなき攻撃を世界が非難する中、米国の民間企業はさまざまな形でウクライナへの支援を表明しています。

米国のハイテク企業マイクロソフトは、ロシア政府の侵攻前夜にウクライナでロシアによるマルウェア警報を検知しました。数時間のうちに、保護コードがウクライナ、ポーランドおよび他のヨーロッパ同盟国の政府と共有され、壊滅的被害をもたらす恐れのあったサイバー攻撃を阻止できました。

「これほどまでに効率のよい、また迅速な行動は見たことがない」。マイクロソフト社のシニア・サイバーセキュリティ・エグゼクティブのトム・バートは、ニューヨーク・タイムズ紙にこう述べました。「数年前なら数週間から数カ月かかっていたことを、今や数時間でやってのけるようになった」

ワシントンを拠点とするシェフ、ホセ・アンドレスは、ウクライナで起きている危機を知ると、自身の非営利団体「ワールド・セントラル・キッチン」を動員し、国境を越えてポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリーへと逃れてくるウクライナ避難民に食事を提供する支援を行いました。

ポーランドとウクライナの国境に最近到着した人々。ワールド・セントラル・キッチンが提供する温かいスープとお茶を味わう。2022年2月26日 (Courtesy of World Central Kitchen)

「我々は、人々を支援し元気づけるため、どこにでも出向く」。アンドレスはワシントン・ポスト紙にこう語っています。

ワールド・セントラル・キッチンは、オデッサとリビウのレストランが、ウクライナにとどまる地元の人々に食事を提供するリソースも提供しています。アンドレスは、コミュニティーに食糧を提供しているリビウの修道女たちに小麦粉を届ける方法を思案中であると述べています。

同様に、米民泊仲介大手のAirbnbは、欧州全域のウクライナ難民10万人が無料で住む場所を借りられるようにしました。また、米国の小売業エッツィ(Etsy)は、ウクライナのクリエーターが負う400万ドルの未払い債務を全て免除しました。

ロシアでのビジネスを停止

多くの米国企業がロシアとの関係を断ち、ロシア政府の経済活動への関与を拒否しています。

サンクトペテルブルクのショッピングモールにある閉店したアップルの公式再販店「re:Store」。2022年3月2日 (© Dmitri Lovetsky/AP Images)

ロシア政府がウクライナに侵攻して以来、以下のことが実行されています。

• 映画制作会社のディズニー、ソニー、ワーナー・ブラザーズは、ロシアでの映画のプレミア上映と通常上映を中止
• ゼネラル・モーターズは、ロシアへの販売車両輸出を停止
• ストリーミングサービスのネットフリックス(Netflix)は、ロシアでの配信を停止し、今後のプロジェクトや調達を全て停止
• アップルの小売店舗は、ロシアでの製品の販売およびアップルペイ(Apple Pay)などの一部サービスを停止する一方、ウクライナでのアップルマップ(Apple Maps)の機能を制限することでウクライナ人の安全を確保
• デルコンピューターは、ロシアでの製品販売を中止
• ボーイングはモスクワでの業務を停止し、ロシアの航空会社に対するメンテナンスと技術サポートを停止
• マクドナルド、コカ・コーラ、ペプシ、スターバックスは、ロシアでの事業を停止
• デルタ航空は、ロシアの旗艦航空会社アエロフロートとの提携を解消
• エクソンモービルは、40億ドル以上と評価されるロシアの石油・ガス事業から撤退し、新たな投資をしない方針
• ビザ、アメリカン・エキスプレス、マスターカードは、ロシアの金融機関による三社の決済システムの利用を停止
• 米二輪車大手のハーレーダビッドソンは、ロシアとの取引を一時停止

バナーイメージ：3月1日、ウクライナとの国境に近いポーランド・ムウィニのレセプションセンターでサンドイッチを準備するシェフのホセ・アンドレス。ワールド・セントラル・キッチンのパートナーであるオー・マイ・ラーメン(Oh My Ramen)のオーナーは、ウクライナ出身でポーランド在住 (Courtesy of World Central Kitchen)