遠い昔、スペインやイギリス、フランスからアメリカ大陸に渡ってきた探検家や入植者たちは、それまで見たこともない動植物や場所、文化的創作物に出合いました。そして先住民族が使うさまざまな言語から言葉を借用して、名前をつけました。今では、こうした名前の多くはアメリカ英語をはじめとする現代言語の一部になっているため、その起源を意識する人はほとんどいません。
アメリカ50州の半数を含む地名はアメリカ先住民の言葉を起源としています。例えば、Connecticut(コネチカット)は「長い川」を意味するQuinnitukqutから取ったものであり、モヘガン族がニューイングランド最長の川をこのように呼んでいました。他にも次のような州名が先住民の言葉を起源としています。
ハワイ(Hawaii)
おそらく、ハワイ先住民の言葉Hawai’i(「神々の場所」を意味するポリネシア祖語のhawaikiより)を起源とすると思われます。
カンザス(Kansas)
カンサ族を表すKansaに由来します。Kansaの意味は「南」で、この部族の正式名称「南風の民」を略したものです。
ケンタッキー(Kentucky)
「草地」「野原」を意味するイロコイ語の言葉に由来すると考えられているKentakeの異形です。
マサチューセッツ(Massachusetts)
「丘の近く」を意味するワンパノアグ族の名前Massachusetを起源とします。
ミシガン(Michigan)
ポタワトミ語とオジブワ語でミシガン湖を指すMshigemあるいはMisigami(いずれも「偉大な湖」という意味)を起源とします。
オクラホマ(Oklahoma)
「赤い民」を意味するチョクトー族の言葉okla hommaに由来します。
ノースダコタ(North Dakota)とサウスダコタ(South Dakota)
隣り合うこの2つの州の名前は、もともとこの地に居住していたダコタ族に由来し、ダコタは「仲間」を意味します。

サウスダコタのラコタ族(スー族)のアーティストがシカ革に描いた、図案化された馬の絵 (© Danita Delimont/Alamy)
テネシー(Tennessee)
この地域にあるチェロキー族の町の名前TanasiあるいはTanasquiを起源とします。
ウィスコンシン(Wisconsin)
ウィスコンシン川を指すオジブワ語のWishkonsingに由来します。
ユタ(Utah)
主にユタ州とコロラド州に住むユテ族にちなむと考えられています。ユテ族という名前はユテ語で「民」を意味するnuutsiuから来ているとも、アパッチ語で「山の民」を意味するyuttahihに由来するとも言われています。
以下の言葉の語源には諸説ありますが、一般にアメリカ先住民の言語を起源とすると言われています。
- アボカド Avocado ナワトル語のahuácatl
- バーベキュー Barbecue タイノ語のbarbacoa
- チョコレート Chocolate ナワトル語のchocolatl
- シマリス Chipmunk アルゴンキン語のchitmunk
- シガー Cigar マヤ語のsik’ar
- コヨーテ Coyote ナワトル語のcóyotl
- ハリケーン Hurricane スペイン語を経由したタイノ語のhurakán
- イグアナ Iguana アラワク語のiwana
- ジャガー Jaguar グアラニ語のjaguá
- フクロネズミ Opossum バージニア・アルゴンキン語族の言葉aposoum
- ピラニア Piranha トゥピ語のpirátsainha
- ポテト Potato タイノ語のbatata

chipmunk(シマリス)という名前は、北米原住民が話すアルゴンキン語からきています (© Joe Austin Photography/Alamy)
これを見ると、先住民がアメリカの言語、歴史、文化をいかに彩ってきたかよくわかるでしょう。次にバーベキューを楽しんだり、チョコレートを食べたり、あるいはハワイに旅行するときには、こうした言葉の起源を思い出してください。
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