クリストファー・コーネル

アメリカの卒業式では、スピーカーとして招待された著名人が、「君たちには無限の可能性があります」という祝辞を述べ、卒業生を送り出す光景がよく見られます。

アメリカの大学・大学院を卒業し、自分の夢や希望を世界の舞台で実現した留学生もいます。アメリカの学位を持つ世界各国の現職指導者は4人で、元指導者にいたっては、数十人に上ります。

4年制大学に留学した人もいますが、ほとんどが大学院進学者です。アメリカに留学した経験のある現職および元首脳のうち、6人は経済学で博士号を取得しています。

国際教育研究所(IIE)の年次報告書「オープンドアーズ2018」によると、2017-2018年学年度の留学生数は過去最高の109万4792人を記録しました。

アメリカの各大学、IIEおよび国務省教育・文化局が国際教育週間(11月12~16日)を祝う中、各国の首脳となった元留学生たちの活躍は母校の誇りとなっています。

左から、コロンビア・サントス前大統領、ケニア・ケニヤッタ大統領、イスラエル・ネタニヤフ首相、リベリア・サーリーフ前大統領、シンガポール・リー首相 (© AP Images)

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、マサチューセッツ工科大学に留学し、建築学で学士号を、経営学で修士号を修めました。ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領やモナコ公国のアルベール2世公はアマースト大学を、シンガポールのリー・シェンロン首相は、公共政策分野に携わることを目指しアメリカ国内外の学生が集まるハーバード大学ケネディスクールを卒業しています。ノーベル平和賞の受賞者で、2018年に任期を終了したコロンビアのフアン・マヌエル・サントス前大統領とリベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ前大統領も、ケネディスクールの卒業生です。

ハーバード大学のネットワーク

ハーバード大学の学生新聞「ハーバード・クリムゾン」によると、ケネディスクールの同窓生名簿には13人の外国人大統領・首相の名前が載っており、メキシコの元大統領3人もここの卒業生です。カルロス・サリナス元大統領は、政治経済および行政学で修士号と博士号を取得し、ミゲル・デ・ラ・マドリ元大統領とフェリペ・カルデロン元大統領は、ともに修士号を修めています。

日本の首相もアメリカ留学経験者です。安倍晋三首相は、公共政策を学ぶため、南カリフォルニア大学に3学期間留学しました。

コロンビアのサントス前大統領、リベリアのサーリーフ前大統領のほか、以下の各国首脳がアメリカで学位を取得しています。

  • マリオ・モンティ元イタリア首相(エール大学卒業。経済学修士号)
  • トーマス・ヘンドリク・イルヴェス元エストニア大統領(コロンビア大学卒業。心理学を専攻。その後、ペンシルべニア大学にて心理学修士号を取得)
  • ラファエル・コレア元エクアドル大統領(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にて経済学博士号を取得)
  • ラウラ・チンチージャ元コスタリカ大統領(ジョージタウン大学にて公共政策学修士号を取得)