アメリカのペンシルベニア州スクラントンとアイルランドのメイヨー州バリナには、いくつか共通点があります。まずは、19世紀にアイルランドのジャガイモ飢饉を逃れてアメリカに渡ったアイルランド人労働者の家族の絆。
スクラントンでは「多くの移住者が長期間同じブロックに住んでいます」と、ページ・ゲブハート・コグネッティ市長は言います。「多くの人々がこの町で長く暮らし貢献しています。スクラントンもバリナも、誇り高い歴史の上に築かれています」
モイ川河口に位置し人口1万1000人に満たないバリナは、アイルランドの「サーモンの都」として町を売り込んでいます。
そして、スクラントンとバリナには新たなつながりもできました。アメリカの大統領です。
多くのスクラントン出身者(人口の4分の1近くがアイルランド系アメリカ人)同様、バイデン大統領の祖先も、飢餓に襲われアイルランドで多くの機会が失われた時にメイヨー州を後にしました。バイデン大統領の曾々々祖父(祖父の3代前)のエドワード・ブリューイットとその息子パトリックは、スクラントンに定住し測量士として働きました。
バイデン氏が小学4年生のときに一家が再び苦境に立たされると、彼の父親は仕事のためデラウェア州ウィルミントンに引っ越しました。後に大統領となるバイデン氏は、残りの幼少期をデラウェア州で過ごします。そこで彼は、憲法で定められた最低年齢30歳で上院議員に選出されることになります。
スクラントンもバリナも、これまでジョー・バイデン氏の帰還を喜んで迎えてきました。バイデン一家はスクラントンから引っ越したものの、親戚はとどまっており、バイデン氏は長年にわたり何度もスクラントン訪れています。当時のオバマ大統領は2016年に、バイデン副大統領を「スクラントン出身の元気いっぱいの子ども」と称賛しました。
大統領候補となったバイデン氏は、2020年11月の投票日に大統領選の激戦州ペンシルベニアを訪れ、幼少期を過ごした家でいくらか時間を過ごし自分のルーツを懐かしみました。
大統領選の投票が行われないアイルランドの町バリナにもバイデン氏は、最近では2016年に副大統領として訪れています。この訪問により、遠縁のいとこや家族の系譜調べに協力してくれた地元の人たちと会うことができました。
そして、2017年にメイヨー州は、2015年にがんで亡くなったバイデン氏の息子ボーの名前をホスピスにつけました。
アイリッシュ・タイムズ紙によると、11月にバイデン氏が大統領に当選したとき、彼のいとこたちは隣人のアイルランド人を率い、バリナの広場でシャンパンを空けたそうです(ちなみに、バリナにルーツを持つ大統領はバイデン氏だけではありません。メアリー・ロビンソン元アイルランド大統領はこの町で生まれています)。
大西洋を越えた共通の誇り
スクラントンとバリナの両市は、30年に及ぶ姉妹都市関係にあります。1月のバイデン大統領就任式の前夜、両市議会はズーム(Zoom)を使ってオンラインで接続し、新型コロナウイルス感染症が収束した後の訪問の可能性について話し合いました。
スクラントンのコグネッティ市長は言います。「政治的信念にかかわらず、地元の少年、あるいは地元出身者の3代後の孫が大人になって選挙に当選するということは、特に子どもたちにとって強力なメッセージになります」
「私の娘も、自分の故郷の出身者が大統領になれるのだと知るでしょう」と市長。「なりたいものに本当になることができるのです」
バナーイメージ:2020年11月7日、ジョー・バイデン氏の大統領当選を祝い、アイルランド・メイヨー州バリナにあるバイデン氏の壁画前で家族と共にシャンパンを開けるバイデン氏の「みいとこ」ジョー・ブリューイットさん (© Charles McQuillan/Getty Images)
*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。
COMMENTS0
LEAVE A COMMENT
TOP