8:30 a.m.
1時間目の授業が始まるのは40分後。まだ起きる必要はないけど、フライ返しを使う音とバターの香りから母が朝食の準備を始めたことに気づく。起きるとするか。
テーブルには母が用意してくれたごはんとスクランブルエッグ、そしてホットソースが2種類。クリスタルホットソースとタバスコ。タバスコを選び、スクランブルエッグにたっぷりかける。コーヒーをいれ、豆乳を少し注ぎ、クラスに急いで向かう。
9:10 a.m.
コロンビア大学は去年の秋からオンライン授業に移行。そのため私は、今もニューオーリンズで両親と一緒に暮らしている。ゼミや講義にはズームで出席している。
“Guten Morgen, Studenten. Wie geht es euch?” (皆さん、おはようございます。元気ですか?)ズームのスピーカー画面に元気いっぱいのドイツ語の先生が登場。クラスメートはマイクをオンにして返事をする。このクラスは、ドイツ語でのディスカッションがある。この点が、受講しているほとんどの授業と違うところだ。10人に満たない小規模なクラスのため、生徒同士の交流も多い。今日はゲーテの「ファウスト」の翻訳と分析をする。
10:30 a.m.
ドイツ語のクラスが終わり、コロンビア大学の学生新聞「コロンビア・デイリー・スペクテイター」のミーテイングに出席。今週の記事のアイデアを出し合う。これは朝のニュースレターに掲載される。今週のテーマはバレンタインデー。
12:00 p.m.
ピーナツバターとジャムのサンドイッチを作る時間。発芽小麦の全粒粉食パン2枚を取り出し、1枚に粒ありタイプ(なめらかタイプよりも食感が私好み)のピーナツバターを、もう1枚にイチゴとチェリーのジャムをそれぞれたっぷり塗る。2枚を合わせて、三角形になるように斜めに切る。塩加減と甘味が絶妙なバランスのサンドイッチを頬張る。
12:30 p.m.
「言語学入門」の授業。ズームで講義。先生はバーチャル黒板を使いながら、形態論と統語論について解説する。授業は大学の大講堂で行われる通常の形式と異なる。ほとんどの学生がカメラとマイクをオフにしているが、先生はおやじギャグを言いながら、みんなが授業に集中できるよう頑張っている。
2:00 p.m.
「文学・古典文学」と呼ばれる授業に参加。このコースは学部生必修のコアカリキュラムの1つで、西洋文学や哲学作品を論評するクラス。使う教材はホメロスの「イリアス」からミゲル・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」と多岐にわたる。コロナ以前は、教室に円形に椅子を並べて座り授業を受けるスタイルだったが、今は自宅の椅子に座り参加。ズームチャットで手を挙げる時は「1」をタイプする。
ブレイクアウトルームでのグループディスカッションでは、半分の時間をディスカッションに使い、残りの半分の時間は互いを知るためにおしゃべり。先生からメインルームに戻ってくるよう指示があるまで、趣味や週末の予定を聞いたり、”Would You Rather”や”Never Have I Ever”などの会話ゲームを楽しんだりする。
3:40 p.m.
文学・古典文学の授業終了。これで今日の授業は全ておしまい。椅子から立ち上がり、レギンスとパーカーに着替える。髪をポニーテールにして、ジョギングに出発。ポンチャートレイン湖の土手を走る。
5:00 p.m.
言語学の宿題を始める。その後、文学・古典文学のクラス用にダンテの「神曲 地獄篇」を読む。
7:00 p.m.
父が部屋のドアをノック。夕食ができたと意気揚々と伝えに来る。メニューは、サーモン、ズッキーニ、ポートベロマッシュルーム。中庭のバーベキューグリルで父が調理したものだ。テーブルの用意を手伝い、母と姉を呼びに行く。デザートは切りたてのパイナップル。
8:00 p.m.
大学の夜のイベントであるクイズ大会に参加。他の1年生と一緒にブレイクアウトルームに入る。私たちのチームは不正解の方が多かったが、互いの間違いを笑ったり、電話番号やインスタグラムのハンドルネームを交換したりした。
9:00 p.m.
宿題からの休憩タイム。姉とソファーに座り紅茶を飲む。このように互いの近況を週に一度話し、その日のストレスを発散する。
2:00 a.m.
やっとコンピューターから離れ、ベッドに滑り込む。母が部屋にやって来て、そっと毛布をかけてくれる。頬にキスをしてブラインドを閉める。私が朝日で早い時間に目が覚めないようにとの心遣いからだ。信じられないかもしれないが、母は毎晩、私が勉強している時に寂しくないよう、遅くまで私に付き合い(時には午前3時!)、起きていてくれる。コロナ禍で自宅から勉強する利点の一つは母がそばにいてくれること!
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