リー・ハートマン

アメリカ政府は、中国・新疆ウイグル自治区で生産された製品に関して、輸入業者が強制労働による製品ではないと証明しなければ禁輸措置の対象になると発表しました。

昨年12月23日、バイデン大統領はウイグル強制労働防止法に署名し、法律が成立しました。これにより強制労働による製品の禁止措置が拡大されました。

ブリンケン国務長官は同日、「我々は今後も、強制労働から逃れようと切望する人々の尊厳回復に向け、あらゆる措置を取っていく。中国政府に対して、ジェノサイドおよび非人道的犯罪を止めるよう求める」と声明を発表しました。

政府はこれまで新疆ウイグル自治区で生産された一定の製品に違反商品保留命令(WRO)を出していましたが、新しい法律は輸入業者に対して、同地域で生産された製品が強制労働によるものでないことを証明するよう義務付けています。

さらに、ウイグル強制労働防止法では以下のことを取り上げています。

  • 強制労働に加担した政府職員への新たな制裁の許可
  • 米国が、メキシコとカナダとの協定(USMCA)を通じて、強制労働で生産された製品がサプライチェーンに侵入しないよう協力していくことを強調

強制労働

国務省は強制労働を、民族、宗教的アイデンティティーの抹消を狙う中国政府による「中心的手法」と見なしています。報道によると、中国は2017年から、100万人以上のウイグル族および少数民族を新疆ウイグル自治区の収容所に送っているほか、多くの人に収容所内や中国各地にある工場や農地で強制労働を強いています。

国務省は、昨年7月に発表した新疆地区での強制労働に関する報告書の中で、「当局は身体的暴力、薬物の強制使用、身体的および性的虐待といった脅威を用いている」と訴えました。

人権のために立ち上がる

ウイグル強制労働防止法は、中国政府の新疆ウイグル自治区での強制労働を抑止し、人権促進に向けたアメリカのこれまでの取り組みを土台にして作られました。政府のこれまでの取り組みは以下の通りです。

  • 新疆ウイグル自治区で人権侵害に関わった中国政府役人への制裁
  • 集団監視、強制労働、弾圧を支援した中国企業に対して、アメリカ国内での資金調達やアメリカからの技術移転を禁止
  • 強制労働を支援しないように、企業に対してサプライチェーンのデューディリジェンスの実施を要求。また、企業に向けた指針や、児童労働や強制労働により製造された製品リストを公表し、企業が強制労働を避けられるよう支援

ホワイトハウスのサキ報道官は、連邦議会によるウイグル強制労働防止法の可決とバイデン大統領の署名を受け、「中国政府にジェノサイドと人権侵害の責任をとらせ、新疆ウイグル自治区での強制労働に対応するため行動を起こすことは可能であり、かつ行動を起こさなければならない」と述べました。

バナーイメージ:中国・アルトゥシュ市にある収容所。新疆ウイグル自治区に住むウイグル族や少数民族の人たちはこのような施設で強制労働を強いられている。2019年6月2日撮影。(© Greg Baker/AFP/Getty Images)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。