皆さん「詩のボクシング」(Poetry Boxing)って聞いたことありますか?これは2人の朗読者が舞台の上で詩を交互に読み、どちらが観客の心を感動させることができたかを競うものです。日本国内でもさまざまな大会が開催されていますが、5月22日に「東京チーム対ニューヨーク・チーム」という形でのイベントが実現しました。会場にはケネディ大使をはじめ、早朝にもかかわらず多くのポエトリー・ファンが詰め掛け、この2組の対決に胸を躍らせていました。審査員は、日本からミュージシャンのVERBALさん、日本朗読ボクシング協会の楠かつのりさん、そしてアメリカから作家のレニー・ワトソンさんの3名が参加してくださいました。
私は「詩」と聞いて、静かに片手に本を持ちながら朗読するようなイメージを持っていたのですが、今回この「詩のボクシング」に参加してその考えが覆されました。学生のみんながとても自由に、体を大きく使って、詩を読んでいる姿はまるで舞台上で演じる俳優のよう。ケネディ大使も自らのスマートフォンで学生たちが朗読する姿を写真に納めたり、朗読し終わって席に戻る学生に声をかけたりと、授業参観に来ているお母さんのような温かい目で朗読者たちを見守っていました。
日本人の朗読者の中には空手を習っている子もいて、「この恵まれた環境」という題の詩を、空手の型を披露しながら朗読しました。その姿はとてもダイナミックで、観客から思わず「お~」と声が上がるほど。また「富士山」という題で詩を朗読する子は、ジャンプしたり、ポーズをとったりと、表情豊かで、言葉だけでは伝わらない心の底からの愛やパワーを感じました。
しかしニューヨークのほうも負けていません。言葉を巧みに用い、日本の学生たちほど動きが大きいわけではなかったものの、観客に語りかけるような優しい口調や、はたまた強いはっきりとした口調で自分の思いを伝え朗読する様子は、心にスーっと届いてきました。
また最終対決では、審査員が「未来」というお題を出し、2人の学生が即興で詩を作り朗読しました。時間があまり与えられなかったにもかかわらず、両者ともかなり高い出来栄えの詩を披露し、我々観客を驚かせました。私たちを驚かせたのは学生たちだけではありません。ニューヨークで即興で作られた詩の通訳をした女性(写真右)は、詩の通訳という大変難しい作業をその場でこなし、ただ言葉を訳すだけでなく、学生たちの考える意図をくみ取り、それを正確かつ感情を込めて伝えてくれました。イベントの成功の立役者のひとりです。
ではここで、私が印象に残った2つの詩について少しだけご紹介したいと思います。ひとつ目はニューヨークより「Vacant(空席)」という題で発表したライス・ジョーダンくんの詩です。彼は非業の死を遂げたお父さんのことについての詩を朗読したのですが、彼の素直な表現や、少し悲しそうに語る表情が心に率直に届いてきました。朗読している間、彼の口からあふれてくる言葉に魅了され、その情景が頭に浮かび、まるで映画を観ているような感覚になりました。
もうひとつは、今回の大会でも最高得点を取った日本チームのフスティニアーノ・パロミノ・マリア・アンヘリカさんの「アイデンティティ」という詩です。ボリビアで生まれ育ち、その後日本に移住した彼女の体の中には、ひとつの心臓しかないものの、常に2人の「私」が戦っているという詩でした。その様子を、スペイン語も交えて朗読したことでよりリアルに感じ、彼女の内面でひそかにおきている葛藤をわずか数分間で見ることができたように思えます。
この対決の結果は動画で観ることができます。皆さんも自分自身に素直になって、自由に表現するのを恐れずチャレンジしてみてください。
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When every one hear the word “poetry” imagine that someone holding a book in one hand and reciting poems in a room surrounded by silence, but this is really a different type …..amazing students will learn something new.
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