カリフォルニア州シミバレーにあるロナルド・レーガン大統領図書館には、大統領専用機「エアフォースワン」を間近に見ようと多くの人が訪れます。このボーイング707型機の特別仕様機は、7人の大統領が外遊する際の足として使用され世界各地を飛行しました。

ここは一般的な図書館ではありません。

全米各地に設立された大統領図書館は、各大統領の在職時の記録を保管しています。施設は一般公開されており、研究者や歴史学者のほか、ホワイトハウスの役割に関心を持つ人なら誰でも資料を閲覧できます。

ロナルド・レーガン大統領図書館(カリフォルニア州シミバレー)(© Bob Riha Jr/WireImage)

大統領図書館はまた、博物館としての機能も備えています。大統領とその時代を映すゆかりの品々も所蔵されており、他の図書館では目にすることのない展示品も含まれます。

大統領図書館は通常それぞれの大統領の出身州に設置されており、観光名所や学術拠点になっています。主な大統領図書館は以下の通りですが、米国国立公文書館は運営する14施設に関する資料提供をオンラインでも行なっています。

エーブラハム・リンカーン(第16代 1861年~1865年)

(© Seth Perlman/AP Images)

イリノイ州スプリングフィールドにあるエーブラハム・リンカーン大統領図書館には、同大統領および南北戦争に関する膨大な資料が所蔵されています。大統領時代のゆかりの品々も数多く展示されており、写真にある馬車は大統領と妻のメアリーが実際に使用したものです。

ドワイト・アイゼンハワー(第34代 1953年~1961年)

(© Charlie Riedel/AP Images)

カンザス州アビリーンにあるドワイト・D・アイゼンハワー大統領図書館には、スピーチライターが書いた退任演説の草稿に同大統領が自ら手直しを加えた原稿が所蔵されています。

ジョン・ F・ケネディ(第35代 1961年~1963年)

(© Rick Friedman/Corbis/Getty Images)

世界的に著名な建築家イオ・ミン・ペイ氏が設計し、ボストンに設立されたジョン・F・ケネディ大統領図書館博物館は、興味深い品々を所蔵しています。その1つが、ココナツで作られたペーパーウエイトです。ケネディ大統領が、第2次世界大戦中、艇長を務めていた船が沈められた際に助けを求めるメッセージを彫ったココナツで、実際に大統領執務室でペーパーウエイトとして使用されていました。

リンドン・ジョンソン(第36代 1963年~1969年)

(© Jay Janner/Austin American-Statesman/AP Images)

テキサス州オースティンにあるリンドン・ベインズ・ジョンソン図書館博物館は、大統領図書館の建物としては最大です。1964年の公民権法の制定に向けた取り組みや、ベトナムへの関与で果たした役割など、同大統領が残した足跡を検証する資料が所蔵されています。また、演壇から語りかけるジョンソン大統領を模したロボットも展示されています。

ジミー・カーター(第39代 1977年~1981年)

(© John Bazemore/AP Images)

多くの大統領図書館では、当時の大統領執務室の様子が再現されています。写真(上)は、アトランタにあるジミー・カーター大統領図書館博物の大統領執務室です。同大統領が執務をした当時のホワイトハウスの雰囲気を調度品などを用いて再現しています。

ジョージ・H・W・ブッシュ(第41代 1989年~1993年)

(© Pat Sullivan/AP Images)

テキサスA&M大学のキャンパスに設けられたジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館博物館は、大統領在任期間中の4000万ページに及ぶ資料を保管するほか、軍人時代やロナルド・レーガン政権の副大統領時代も含めたブッシュ大統領の公職者としての人生を紹介しています。記者会見場も再現されており、来場者は演壇からテレプロンプターに映し出される原稿を読み上げたり、質問に応じるなど記者会見に臨む大統領の気分を味わうことができます。