リー・ハートマン

ロシアのプーチン大統領によるウクライナでの戦争は、食糧価格の高騰を招き、世界中の食糧供給を脅かしています。ウクライナでは、ロシア軍が農場を破壊し、倉庫を爆撃し、畑を荒廃させ、要塞化に必要なトラクターなどの機械を押収したと報道されています。

地雷のためにウクライナの人々は農場を放棄せざるを得ず、ロシア海軍によるウクライナの黒海港の封鎖で輸出は制限されています。

その結果、国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の食料品価格が急騰しています。FAOは4月8日、「主にウクライナ戦争の影響で」3月の食糧価格が最高値を更新したと報告しました。

「黒海地域での戦争は、主食となる穀物や植物油の市場に衝撃を広げた」とFAOは付け加え、トウモロコシ、肉、その他の必需品の価格も上昇していると指摘しました。

ヨーロッパの穀倉地帯として知られるウクライナは、70%が農地で、主要な農産物輸出国です。小麦は世界の約10%、トウモロコシは世界の供給量の約15%を生産し、ひまわり種子油の輸出量は世界一です。2月24日のロシアによるウクライナへのさらなる侵攻により、これらの商品を取り巻く状況は全て深刻な混乱に陥っていると専門家は指摘しています。

小麦をウクライナに大きく依存しているエジプト、エチオピア、レバノンなど、中東・アフリカ全域でパンの価格が上昇しています。

2021年、エチオピアのアファール地方で、国連世界食糧計画からの配給を受け取る人々。エチオピアは、ウクライナからの小麦に大きく依存するアフリカ諸国の一つ (© Claire Nevill/WFP)

2021年、エチオピアのアファール地方で、国連世界食糧計画からの配給を受け取る人々。エチオピアは、ウクライナからの小麦に大きく依存するアフリカ諸国の一つ (© Claire Nevill/WFP)

ヒマワリ種子油の供給に対するショックは、植物油の価格を23%上昇させ、インドネシアで調理によく使われるパーム油については、40%以上の高騰を引き起こしました。

エチオピアの干ばつと内戦で飢餓が広がっている東アフリカでは、ウクライナの戦争で小麦などの主食の価格がさらに上昇する恐れがあると、人道支援団体「マーシーコー」の関係者がニューヨーク・タイムズ紙に語っています。

ウクライナ南部ヘルソン州の農業従事者オレクサンドル・キリーチシンは、ロシア軍が春の植え付けを妨げていると言い、食糧供給のさらなる混乱を示唆しています。「作付けするかどうか分からない。畑に出る車は全て撃たれると言われているからだ」。キリーチシンはニューヨーク・タイムズ紙にこう述べました。

バナーイメージ:ロシア軍の砲撃で死んだ家畜を調べるウクライナのハルキウの農民。ロシアのプーチン大統領の戦争は、ウクライナの農場を破壊し、世界の食糧市場に衝撃を与えている (© Celestino Arce/NurPhoto/Getty Images)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。