3部構成の「米国の連邦制度」シリーズの2回目は、州政府の役割を説明します。連邦政府、地方政府についての記事もご覧ください。
米国の50州は「民主主義の実験室」として知られます。なぜなら各州が独創的な政策を考案し、州内で試した結果、時には連邦レベルで採用されることもあるからです。
連邦法が定める最低賃金、職場の安全基準、医療福祉政策は、全て州が始めたものです。
米国は、地方、州および中央政府が権限を分かち合う「連邦制度」制度を採用しています。国民は、日常的に、しかしさまざまな形で、異なるレベルの政府と関わるため、この制度は理解すべき重要な概念です。
「米国の連邦制度と政治文化の下では、州が率先して行動することが奨励されています」と米国立法交流評議会(ALEC)で国際関係と連邦制度を担当するディレクター、カーラ・ジョーンズ氏は説明します。「多くの権限を州に与える米国の制度は、数ある先進国の中でもユニークな存在です」
州政府の役割
州政府は、州民が生まれてから死亡するまで、さまざまなサービスを提供しています。出生および死亡証明書を発行するのが州政府だからです。
他にも、病院や医療制度の運営、幹線道路の建設と補修、学校や大学への資金提供、税金の徴収、「州警察官」と呼ばれる州全域を管轄する警察組織を維持する責任を負います。
各州に陸運局があり、州民はここで車両登録を行い、運転免許を取得し、交通違反切符に不服を申し立てます。税金や手数料がこうした全てのサービスに必要な資金に充てられています。
登録有権者によって選出される州知事が担う責任は、州によって異なります。しかし一般的には、知事は法案に署名して法律として成立させ、州の行政府を運営し、行政府は知事の政策を実施します。州知事は、通常は税金で州都に建てられる「州知事の公邸」に居住します。
以下の図は、立法府、行政府、司法府に属する主な機関です。
州知事に加えて、各州には立法府があります。立法府の議席数を決定するのは州政府です。例えば、全米で州人口が比較的少ないニューハンプシャー州の州議会は400議席となっており、米国で最も人口が多いカリフォルニア州議会の議席数は80です。
州民は、州下院議員と州上院議員を選出します。議員は、新しい法律の提案、法案作成、法案の採決、年間予算の承認などの業務を州都で行います。州政府は、地方政府、学校、図書館、ほかの公共機関にも一部資金を拠出します。
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