齋藤菜奈子 市立札幌啓北商業高等学校教諭

8月2〜4日、テンピ市のアリゾナ州立大学で行われたTeach English Now! 英語教育会議に参加しました。今年のテーマは、The Future of Language Learningです。この大学の、オンライン外国語としての英語教育法(TESOL)講座を受講していたことから、会議の開催を知りました。勤務先の高校で私が実践してきた英語や異文化理解教育を世界中の英語教員たちとシェアする良い機会だと思い、参加を申し込みました。

Tempe is in the middle of desert and the temperature was 44 degrees Celsius, but I enjoyed visiting the gorgeous campus and exotic-looking city.

砂漠にあるテンピ市は、摂氏44度と毎日真夏日でしたが、広々とした美しいキャンパスとエキゾチックな街並みに魅了されました

会議には、23カ国から参加者が集まりました。高校や大学で英語やジャーナリズム、幼児教育などに携わる教員たち、移民の英語教育を担当する非政府組織(NGO)のスタッフ、これから英語教員を目指す学生や社会人など、経験もバックグラウンドもさまざまです。

Visiting the Grand Canyon with a participant from Mexico after the conference.

会議が終了した翌日、メキシコからの参加者と共に、グランドキャニオンを訪れました

私は2日目午後のLanguage Learner Journeysをテーマとする分科会で「Japanese High School Students’ English Journeys with Technology and Reading」について45分間発表しました。一昨年、2年生の英語授業で取り入れていた以下の2つの活動を柱に、教室での導入の仕方、課題、成果についてお話しさせていただきました。2つの柱のうち1つ目は、Kizuna Across Cultures (KAC)のGlobal Classmatesというアメリカの高校とのオンライン交流プログラムです。このプログラムで、ミネソタ州のSouth West High Schoolと半年間交流させていただきました。2つ目は、地元札幌で行われた学会に参加して関心を持ち、1年かけて準備し取り入れた、英語の本の多読です。その他、これらの教育活動を通じて英語学習や異文化理解に対して積極的になった生徒が参加したStanford e-Japanなど外部団体のプログラム、ボランティア活動、姉妹都市ポートランド市への派遣参加やホームステイ受け入れなどについても、情報共有しました。

日本の高校では、残念ながら英語は苦手な教科という生徒が大半です。勤務先の生徒たちも同様です。しかしながら、生徒たちが積極的に参加し、交流し、また自主性を持てるような活動を導入したところ、年度末に実施したアンケートでは、英語を以前より速く読み書きできるようになった、アメリカに行きたいと思うようになった、アメリカに親しみを感じるようになったという前向きな生徒のコメントが大半を占める結果になりました。より自信を持ってコミュニケーションが取れるようになり、その結果、生徒の視野が広がったと、生徒も私自身も感じています。また、英語外部試験においても、上記のプログラムに参加した生徒の1年間での伸びは、全国平均では2年間分の伸びに相当するものでした。

これらの情報を、日本の学校や英語教育についての基本情報と共にお伝えしたところ、参加者も大変関心を持ってくださり、発表終了後のオープン・ディスカッションでは、とても積極的な意見交換が行われ、印象に残った発表となりました。

Visiting the U.S. Consulate General Sapporo on April 6 with one of my students after she completed the Stanford e-Japan program. (Source: U.S. Consulate General Sapporo)

担任をしている生徒がStanford e-Japan修了時に、在札幌米国総領事館を訪問しました(訪問日4月6日の、札幌総領事館フェイスブックから)

この会議の発表内容のうち、多くが、在日米国大使館、在札幌米国総領事館のご協力や、情報提供により参加させていただいたプログラムです。多大なご協力に、いつも感謝しております。昨年夏休みには、在札幌米国総領事館へ、将来留学を希望する生徒を連れて訪問し、アメリカの大学や留学制度について詳しく教えていただきました。また、KACやStanford e-Japanなどについても情報共有していただき、「学校外のさまざまな人々や社会と関わりを持ってほしい」「実践的なコミュニケーションにチャレンジしてほしい」と常々思っている自分にとっても、自分の生徒にとっても素晴らしい機会となりました。特に地方の学校では、なかなか海外の方との交流の機会も資源もなく、英語を習っている生徒たちも、外国とのつながりをイメージしにくいように思います。少しでも、生徒たちが英語や海外への関心を深め、視野を広げて成長できるよう、全力で支援していき続けたいと改めて思った3日間でした。