TED(Technology、Entertainment、Designの頭文字)はカリフォルニア発祥の非営利団体。各界の専門家が自分の専門分野について話をする動画「TEDトーク」を無料配信しており、最近ではスマートフォンのアプリで、通勤や通学時間に自分の好きなTEDトークを聞く人も増えている。英語学習者やプレゼンテーション術を学ぼうとする者にとって教科書のような存在だ。TEDトークの題材は「なぜ宇宙が存在するのか?」というようなスケールの大きな哲学的題材から、「自分がブスだと思うことがなぜ悪いのか?」という社会心理学の分野まで幅広く、どんな人でも自分にとって興味深いTEDトークを見つけられる。優れたアイデアの普及を目的とするTEDの活動は日本にも広がり、TEDxKidsやTEDxTokyoも創設された。
TEDxTokyoの共同創設者の一人が日本在住の教育活動家パトリック・ニュウエル氏だ。パトリックは1991年に来日、1995年に東京インターナショナルスクールを設立する一方で、2009年に創設したTEDxTokyoを通じ、価値あるアイデアを共有し人々をつなげる活動を行っている。そのパトリックがアメリカ大使館主催のワークショップで、プレゼン術の極意を日本の高校生・大学生およそ80人に伝授した。学生たちがパトリックから学んだこと。それは”If you’re happy with yourself and confident with yourself, other people are going to be confident with you as well”―「あなたが自分に自信を持って自分らしくいれば、聴衆も信頼して話を聞いてくれる」だ。
アメリカン・ビューはワークショップ直前のパトリックにインタビューした。彼が語るプレゼンテーションの秘訣とアメリカ留学のメリットとは?
― 人前で話すことは、グローバルな環境で仕事をしたい人には必要なスキルです。プレゼンテーションを上手にするために留意すべきことは何だと思いますか。
「実は、アメリカ人が最も恐怖を感じるのは、銃で撃たれることではなく、人前で話をすることだ。人はあらゆるエネルギーが自分に向けられることに慣れていない。だから怖いのだ。話し手は大いに注目され、たくさんのエネルギーが集中するので、とても緊張し、しり込みしてしまう。ひとつ言えることは、聴衆から向けられるエネルギーを取り込むといい。聴衆は話し手にうまく話をしてほしいと思っている。このポジティブなエネルギーを取り込んで、聴衆に返し、彼らと気持ちを通じ合わせればいい」
― 日本人の学生がアメリカで学ぶメリットとは?
「アメリカは広大だ。私の出身地カリフォルニア州だけでも面積は日本より広い。だからアメリカに留学すれば、5つか6つの国に留学するのと同じ経験ができる。アメリカはとても多様で、さまざまな機会を提供してくれる。これこそアメリカへ行く大きなメリットのひとつだ」
「日本にとって世界で最も戦略的な関係はアメリカとの関係だ。実際に現地に行ってそこに住む人々と話をしてみなければ、その国を理解するのはとても難しい。日米関係の重要性と、先ほど触れたアメリカの多様性―この2つが、日本の学生にとってアメリカが留学先として最善の選択肢であると私が考える理由だ」
― パトリックさんは人を雇用する立場にもありますが、企業にとって留学のような海外経験のある人を雇う利点とは何だと思いますか?
「日本は今、歴史的にとても興味深い時期にある。国内で多くの製品を製造する時代は終わり、海外生産に移行している。今の若い世代は将来、世界各地で勤務するグローバルマネージャーになるだろう。そのためには、英語でコミュニケーションをとり、異なる文化圏の社会の仕組みを理解する必要がある。海外経験がなければそれは難しい。私が思うに、親世代では英語力や国際感覚を持つ人は少ない。それが大きなコンプレックスになっている。だから若者は海外に出て経験を積もう。経験こそ、人間として私たちを育む大切な要因の1つだからだ。」
この記事はインタビューの抜粋になります。ビデオでパトリックさんのメッセージの全容を是非見てください。
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