マイケル・ラフ

アメリカ軍の全部門で女性兵士の役割が拡大、その意味において2020年は特筆すべき年となりました。

今年7月、2015年に女性の戦闘任務参加が全面的に解禁されてから初めて、特殊部隊訓練を終えて作戦部隊に配属された女性州兵が誕生しました。彼女は特殊部隊資格課程を修了した初の女性でもあり、今後は国家機密任務を海外で遂行する陸軍精鋭部隊「グリーンベレー」への配属が決まっています。

「軍は真の意味で実力社会。私たちは皆同じ誓いをし、同じ土俵でキャリアをスタートする」。退役したロリ・ロビンソン元空軍大将は、ブルッキングス研究所の報告書の中でこう述べています。

ロビンソン氏は、戦闘部隊初の女性司令官と空軍兵器学校初の女性指導官を務めた経歴を持ちます。2017年の北朝鮮危機の際には、北米航空宇宙防衛司令部兼アメリカ北方軍(NORTHCOM)司令官を務めました。

「軍における男女平等は今が一番進んでいる。いかなる戦闘任務からも、女性が排除されることはもはやない」と述べています。

2008年には、アン・ダンウッディ陸軍大将が、女性で初めて4つ星階級に昇格しました。以来、5人の女性が4つ星階級に昇格しています。

アン・ダンウッディ陸軍大将。元陸軍資材集団司令官。女性で初めて4つ星階級の大将に昇格。在勤38年の後に引退 (U.S. Army/Staff Sgt. Teddy Wade)

アン・ダンウッディ陸軍大将。元陸軍資材集団司令官。女性で初めて4つ星階級の大将に昇格。在勤38年の後に引退 (U.S. Army/Staff Sgt. Teddy Wade)

8月26日の男女平等の日に際して、ヨーロッパ歯科保健部隊で下士官上級指揮官を務めたばかりのトレス・ビエン・アダムズ曹長は、「レンジャー課程や歩兵訓練課程を卒業し、頭角を現す女性を目にできるなんて信じられません。陸軍で女性が躍進する姿を見られることに驚きを隠せません」と語りました。

(State Dept./M Rios)

(State Dept./M Rios)

第1次世界大戦中、およそ2万2000人の女性が陸海軍の看護部隊に看護師や助手として従軍しました。海軍ではさらに1万1000人が、速記者、事務員、通信士、伝言士、トラック運転手、兵器庫スタッフ、機械工、暗号解読士として働いていました。

第2次世界大戦になると、35万人の女性が婦人陸軍部隊や海軍婦人部隊に志願しました。現在、陸海軍に所属している女性兵士の数は1970年代に比べて5倍増加しました。一方、陸軍への入隊数は3倍に増えています。

「軍の仕事は、まさに同一労働同一賃金。報酬は性別に関係なく、職務と資格が同じ人に同等に支払われます」。海兵隊のエイミー・エビッツ大佐はブルッキングス研究所への寄稿記事の中でこう説明します。

ハワイ海軍基地で兵士にあいさつするミシェル・ハワード作戦副部長兼海軍大将。女性で初めて4つ星階級の海軍大将となった (U.S. Navy/Mass Communication Specialist 2nd Class Diana Quinlan)

ハワイ海軍基地で兵士にあいさつするミシェル・ハワード作戦副部長兼海軍大将。女性で初めて4つ星階級の海軍大将となった (U.S. Navy/Mass Communication Specialist 2nd Class Diana Quinlan)

1948年6月12日、トルーマン大統領は「女性軍務統合法」に署名、これにより女性の軍への正規入隊が戦時中だけではなく常時可能となりました。しかし、女性兵士の任務は同法502条により制限されていたため、戦闘に配備される可能性のある海軍の艦艇や航空機に乗ることができませんでした。この制約が解禁され、女性が戦闘を含むあらゆる軍の任務を遂行できるようになったのは2015年のことです。

トレス・ビエン・アダムズ曹長は、陸軍募集司令部の上級曹長を務めたタバサ・ガビア最先任上級曹長から影響を受けたと言います。

「もしやりたいこと、目指したいことがあれば、やってみること。自分ができることに驚きますよ」とアダムズ曹長は言います。

バナーイメージ:アメリカ北方軍司令官交代式を終え、式場を後にするロリ・ロビンソン空軍大将。女性で初めて戦闘部隊司令官となった。2016年5月、コロラド州コロラドスプリングス (USCG/Petty Officer 2nd Class Patrick Kelley)