アメリカでは新型コロナウイルスの感染者数がいまだに増え続けており、このような状況を考えると、対面授業の再開に踏み切る学校はほとんどないでしょう。多くの学生と職員は、オンライン授業という新しい形式への適応を余儀なくされ、授業は主にビデオ会議プラットフォームを使って行われています。
学校のオンライン化で最も影響を受けたものにキャンパスライフがあります。私はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に通っていますが、ロサンゼルスは感染拡大の中心地の1つです。これが意味するのは、学校にどうしても行かなければならない一部の学生(演劇専攻や実験の単位が必須の人たち)を除いて、当分の間キャンパスに行かずにオンラインで授業を受けるということです。
私は現在1年生です。オンライン授業やバーチャルイベントによる学生生活への影響を肌で感じています。一般的にオンライン環境では、人と触れ合う回数が格段に少なくなり、発言を求められない限り話さないこともあります。
バーチャルクラスと従来のクラスの明らかな違いは、発言をする学生に向けられる注目度です。従来のクラスでは、学生が先生の方を向いてばらばらに座り、質問するときは先生の方を向いて発言していました。また近くのクラスメートと会話することもできました。しかしバーチャルクラスでは、発言者の顔が他の学生のモニターに映し出されることから緊張するのです。
また、バーチャルクラスでは近くにいる人と気軽に話すことができません。もちろんチャットボックスを使ってクラスメートに個別メッセージを送ることもできます。これは時間がかかり、授業中だと気が散りますので、あまり見かけません。生徒同士が会話できる唯一の手段は、アプリを使ったグループチャットです。ただこれは大人数のチャットなので、授業以外のことを話すのを避ける傾向にあります。特に1年生や前年から知っている人がいない転入生にとって、他の人との交流は難しくなります。
さらに、ほとんどの場合は、授業中にカメラをオフにしている人が大多数です。これはクラスの社会的側面において大打撃です。先生は社会経験のためカメラをオンしてほしいと言いますが、実際はオフにしていても何も言われません。
授業以外の状況は少し異なります。多くのクラブや同好会は、映画観賞会やゲーム大会、そしてクイズ大会といったイベントをオンラインで開催しています。こういったイベントは、学生たちが普段の授業よりも活発に交流でき、コロナ禍にあっても楽しい時間を過ごせるような場となっています。
とは言えバーチャルイベントでは、多数が同時に話をすることができません。発言を聞いてもらうには、1人ずつ話すしかありません。これは、会話が自由に飛び交う従来の対面イベントと同じような環境を作り出す障害となっています。その結果、参加者が沈黙している場面が増え、交流がしづらくなっています。
この新しいバーチャル環境の交流にも、プラスの側面があります。例えばバーチャルクラスでは、学生が先生に「ありがとう」の絵文字を投稿したり、授業中に「ありがとう」と書かれたメッセージボードを掲げたりするのが流行っています。また、ブレイクアウトルームを活用する例もあります。これはビデオ会議で一対一の会話をしたり、ある特定のグループ内で会話したりする機能で、バーチャル環境の中でもたくさんの交流を持つことができます。もう一つの利点は、ネット環境が整ってさえいれば、どこにいてもコミュニケーションをとることができることです。寮の部屋にいる必要はなく、何を着るかといったことで頭を悩ませる必要もありません!
コロナ禍はキャンパスライフを難しいものにしましたが、多くの人はこの新しい状況に適応し始めています。「みんな同じ状況」と考えることで、極端に孤独を感じることがなくなり、クリエーティブなコミュニケーション方法を考えるきっかけになっています。学生たちがコロナに対応しながらも社会経験を持つことができるよう、このような傾向が続いていくことを望みます。
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