アレックス・ゴードン

エドワード・ハンスさん(24)は、大学の外国語必修科目として何となく選んだ日本語が、後に「人生最高の経験」を生み出すものになるとは思いもしませんでした。

ハンスさんは、日本語の教授から「語学指導等を行う外国人招致事業」(JET プログラム)への参加を勧められ、2015年から2017年まで、熊本県の山あいにある農村、錦町で英語を教えました。JETプログラムは、日本政府が主催する、外国語教育を通じた唯一の国際交流事業です。「主要道路は一本。店が数件と町役場がありました」とハンスさんは言います。「特に必要なものや欲しいものがあれば、20分から25分かけて最寄りの市まで行かなければなりませんでした」

JETプログラムの参加者は、都市部、郊外、農村部のいずれかに派遣されます。それぞれの場所には、そこならではのメリットがあります。自然を楽しみたいハンスさんは、田舎での生活を満喫しました。「これまでにないくらいキャンプやハイキングに出かけ、存分に楽しみました」

熊本県の棚田 (© Horizon Images/Motion/Alamy)

ハンスさんは、いくつかの小学校を掛け持ちして英語を教えました。その一方で、彼自身もJETプログラムから多くのことを教わりました。「日本では、教師と学校は深く尊敬され、学校の掃除は生徒たちが行ないます。子どもたちにできるだけ多くの本を読ませる教育に重点が置かれています」

ハンスさんは着任後すぐに、町の人が自分に対して「学校で教える」以上のことを期待していることに気づきました。それも、彼が思ってもいないような形で、です。公立図書館で英語プログラムに参加したり、バスケットボールの地元チームの一員として、よその町との対抗試合でプレーするなど、さまざまな地域イベントに参加しました。

「ある日、役場の上司から『君はマラソンを走ることになっているから』と言われました。それも、レース1週間前に」とハンスさんは言います。

ハンスさんが暮らした町は農業が盛んで、新鮮な果物と野菜には事欠きませんでした。でも、町の人たちからは、伝統的な日本食になじむことも期待されました。

熊本県の干しダコ (© SOURCENEXT/Alamy)

1987年に設立されたJETプログラムの参加者は、これまでに、アメリカ人約3万2000人を含め6万人を超え、日本各地の学校、教育委員会、官公庁へと派遣されています。

世界40カ国以上が参加するJETプログラムは、日本に住み、働いている世界各国の人々に出会うユニークな文化交流の機会を提供しています。

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。