ユキ・近藤・シャー 在福岡アメリカ領事館 広報担当領事

エッセイは、大学入学願書の中で最も重要です。それは、出願時点で唯一、受験者が自分でコントロールできるからです。成績証明書に記載される成績は、高校3年間に受けた授業での努力の結果を反映しています。共通テストの点数は、ある週末の午前中に受けたテストの結果で、受験者の実力の一面に過ぎません。担任教師の推薦状は、受験者と他の生徒を比較した教師の私的な見解です。

それに引き換えエッセイは、受験者が今からでも努力できますし、それが出来栄えに反映されます。早めに下書きに取り掛かり、何度も見直して書き換え、信頼できる友人や先生などの意見も聞いてみるとよいでしょう。成績、テストの点数、履歴書、推薦状などが素晴らしい生徒はいるでしょう。でもエッセイは、あなた自身が書いた唯一のものであり、選考過程であなたが目に留まるかどうかのカギともなります。まず日本語で書き、後で英語に翻訳しても全く問題ありません。

日本の生徒が書いたエッセイを採点した私の経験から言うと、残念なことにほとんどが、ただ単に質問に答えるだけの内容になっています。意外かもしれませんが、エッセイの質問で最も大切なことは、それを出発点として、自分の生い立ち、経歴、知的興味、そして将来の計画に踏み込むことです。エッセイの最終的な目的は、それを読んだ入試担当責任者が、受験者の人物像を捉え、応募の動機を理解すること。そして、「この生徒に授業やキャンパスライフにぜひとも参加してもらいたい」と思わせることです。

日本の皆さんに具体的にアドバイスしたいのは、謙虚にならずむしろ野心的になることです。アメリカの生徒は、入学願書で自分の夢を語り、将来の計画を明確に述べるよう教育されています。その彼らと競争するのですから遠慮している場合ではありません。なぜアメリカに留学したいのか、日本でできないことがアメリカに留学すればなぜ可能になるのかを、自分の中で明確にしておきましょう。手本となる優れたエッセイを読んでみたければ、ニューヨークタイムズ紙が編集者を感心させたエッセイを毎年特集しているので読んでみるとよいでしょう。

では、今年の入学願書用のエッセイ課題を見てみましょう。私の母校ダートマス大学のものです。「第2次世界大戦後、ダートマス大学学長のジョン・スローン・ディッキー(1929年次卒業生)は、『世界が抱える問題は君たちの問題であり…人類が努力すれば解決できない問題は世界に存在しない』と公言した。では君たちが行動を起こそうと思う世界の『問題』とは何か?君たちはダートマス大学での教育を、その問題解決にどう生かすことができるか?」

最近では気候変動やいじめ問題などに率先して取り組む若者も多く、心を打たれます。650語のエッセイを通して、あなたがどのように世界に影響を及ぼしたいかを考えてください。そして、どうすれば他の受験者より自身を際立たせることができるかを考えましょう。

Yuki Kondo-Shah国際教育週間(11月18日~11月22日)にちなみ、在福岡アメリカ領事館で広報担当領事を務めるユキ・近藤・シャーから、米大学合格への鍵となるアドバイスをお届けします。5回シリーズの記事の中で、学生と教員がどのように出願準備を進めるべきかを説明します。近藤・シャーは、国務省入省以前にダートマス大学で志願者選考のインタビューを行っていました。また、スタンフォード大学とハーバード大学では、願書の審査を担当していました。その時の実体験から得た役に立つ情報を、留学を検討中の皆さんにお伝えします。

このシリーズの記事は、以下のページをご覧ください。

第1回 アメリカの大学は皆さんを待っています!
第3回 重要な課外活動
第4回 ポイントは6つ!印象に残る推薦状を書いてもらおう
第5回 推薦状の書き方―先生のための心得

EducationUSA主催のアメリカ留学イベントは、こちらのウェブサイトをご覧ください。