ユキ・近藤・シャー 在福岡アメリカ領事館 広報担当領事

アメリカの多くの大学は、先生からの推薦状を少なくとも2通出願書類として提出することを求めています。おそらく皆さんにとって、これが初めて先生に推薦状をお願いする機会となるのではないでしょうか。また先生にとっても、アメリカの大学に推薦状を書くのは初めての経験かもしれません。ここでは、推薦状が大切な理由と、アメリカ式の効果的な推薦状をお願いするコツをお伝えします。

推薦状はなぜ大切?
カリフォルニア州オークランドの名門校、ヘッドロイス高校のディレクターを務めるタニア・キャストロブラットによると、推薦状とはその生徒の人物像を、クラスの先生から伝える機会です。「大学のアドミッションオフィスは推薦状を通して、生徒が高校ではどのような人物であったかを把握し、自分たちの大学にふさわしいかを見極めるのです」(キャストロブラット)

先生に推薦状をお願いする際は、以下のことを覚えておきましょう。

1. あなたのことをよく思っている先生にお願いしよう。
これは一見当たり前のように思えますが、私がアドミッションオフィスで働いていた時には、驚くことに、生徒の遅刻、授業参加度の低さ、不真面目な態度について書いてある推薦状をたくさん目にしました。

2. あなたがどんな学問に興味があり、情熱を持っているかを知っている先生を選ぼう。
その先生のクラスでの成績は、さほど重要ではありません。一般的に、生徒は良い成績を取っているクラスの先生を推薦人に選びがちですが、これは必ずしも最善の策ではありません。アドミッションオフィスは成績証明書を受け取っているので、あなたがどの教科で「5」(5段階評価の場合)を取っているか見ればわかります。「マリコさんは優秀で、遅刻することなく、提出物の期限もきちんと守る生徒でした。よって5の評価としました」のようなことしか書かれていない推薦状は、あまり効果的ではありません。

反対に、ある教科が苦手だったとしましょう。でも、あなたはこの教科が好きで、懸命に努力し、成績を「3」から「4」に上げました。理解を深めるため、職員室に行き先生に質問し、追加課題もこなしました。このような場合、先生からの推薦状は次のようになるかもしれません。

「マリコさんは、私が受け持ってきた生徒の中で一番の努力家です。放課後いつも職員室に質問に来るだけでなく、学習中の単元の追加情報を、クラスの皆と共有してくれました。マリコさんは、勉学に常に真摯な態度で臨んでいました。積極的に発言し、クラス内の活発な議論に貢献してくれました。また成績が芳しくない他の生徒にも声をかけ、一緒に勉強していました。彼女の斬新な視点で、私が思いつきもしなかった解決策にたどり着いた時には感心しました」

いかがですか? 2番目の推薦状でアドミッションオフィスは、マリコさんが将来どんな大学生になるのかのイメージがつかめます。先生に推薦状をお願いする時には、成績にとらわれる必要はありません。推薦状とは、あなたの人となりやリーダーシップ、他人への思いやりを語るものです。

3. 考えを整理し、少なくとも1カ月ぐらい前に作成をお願いしよう。
推薦状を読むと時には、先生に時間がなかったため、生徒の人となりをとらえた思いやりのある、上手くまとまった手紙を準備できなかったことが分かります。難関校の入学審査では、優秀な生徒が大勢出願するため、平凡な推薦状だと出願書類全体の印象が弱まります。先生に敬意を払い、先生が推薦状を推敲、書き直し、提出できるよう十分な時間をとりましょう。できれば高校2年の春までには推薦状が必要であることを先生に伝えましょう。必要であれば、自身についての「まとめ」を事前に先生に渡すことをおすすめします。

4. フォローアップを忘れずに!
推薦状を書くには時間も労力も要します。出願を手伝ってくれる先生に常に感謝の気持ちを持ちましょう。また、推薦状は英語で書く必要があります。先生によっては、学校の英語の先生に翻訳をお願いする場合があるかもしれません。この場合、日英両方の推薦状を提出する必要があります。

5. 指示に従おう。
出願する大学が記載している推薦人の要件(学年や教科)に必ず目を通しましょう。大学によっては、推薦状は特定の学年、あるいは特定の教科の先生に書いてもらわなければなりません。例えば、最難関大学では、高校2年あるいは3年時の先生からの推薦状と指定してあり、推薦人は音楽、美術、体育の担当教員ではなく、主要科目(国語、社会、数学、理科、外国語など)の担当教員でなければなりません。

6. 最後に。先生のことを知ろう!
特にあなたの好きな教科の先生のことを知りましょう。その先生の授業では、できるだけ積極的に発言しましょう。もし先生と共通する学問上の関心を持っていれば、先生が自主学習、夏休みのインターンシップや研究のコツ、またはどの学校がいいかなどの情報を教えてくれるかもしれません。

これらのアドバイスに従えば、あなたの長所をアピールしてくれる先生と強い関係を築くことができるはずです。「この2年間、マリコさんの推薦状を書くことを楽しみにしていました。私の方からマリコさんに書かせてほしいとお願いしたほどです」 アドミッションオフィス担当官が待ち望んでいるのは、このような推薦状なのです。

Yuki Kondo-Shah国際教育週間(11月18日~11月22日)にちなみ、在福岡アメリカ領事館で広報担当領事を務めるユキ・近藤・シャーから、米大学合格への鍵となるアドバイスをお届けします。5回シリーズの記事の中で、学生と教員がどのように出願準備を進めるべきかを説明します。近藤・シャーは、国務省入省以前にダートマス大学で志願者選考のインタビューを行っていました。また、スタンフォード大学とハーバード大学では、願書の審査を担当していました。その時の実体験から得た役に立つ情報を、留学を検討中の皆さんにお伝えします。

このシリーズの記事は、以下のページをご覧ください。

第1回 アメリカの大学は皆さんを待っています!
第2回 テーマは自由!650語のエッセイで差をつけよう
第3回 重要な課外活動
第5回:推薦状の書き方―先生のための心得

EducationUSA主催のアメリカ留学イベントは、こちらのウェブサイトをご覧ください。